はじめに
空家を所有している方、あるいは相続によって不動産を手に入れた方の中には、「ただ持っているだけで費用がかかるなんて…」と感じる方も多いのではないでしょうか。
実際、不動産を持ち続けるだけでも、多額の維持費や税金が発生し、予想以上の負担となることがあります。
今回は、大阪市浪速区大国1丁目にあるモデル物件を例に、空家を所有することでどのような費用が発生するのかを詳しく解説し、これらのコストをどのように管理し、最適化するかについてご紹介します。
1. 固定資産税・都市計画税 – 空家でも避けられない税金の負担
まず最初に、空家を所有することで避けられない費用の一つが、固定資産税と都市計画税です。
これらは、不動産を所有する限り毎年発生する税金であり、その額は物件の評価額に基づいて決定されます。
固定資産税とは?
固定資産税は、土地や建物などの固定資産に対して課せられる税金です。
評価額の1.4%が課税されるのが一般的ですが、住宅用地に対しては軽減措置が適用されることがあります。
しかし、空家であり、適切な管理が行われていない場合、この特例が適用されず、結果として税額が高くなるリスクがあります。
都市計画税とは?
都市計画税は、都市計画区域内にある不動産に対して課せられる税金です。
評価額に対して0.3%が課税されます。
この税も固定資産税同様に、空家であっても適用され、特に市街地に位置する物件では負担が大きくなることがあります。
モデルケースでの試算
大阪市浪速区大国1丁目にある30坪の宅地と、延べ床面積45坪の築45年の木造建物を例に試算すると、土地の評価額が3,000万円、建物の評価額が500万円の場合、年間の固定資産税は約37万円、都市計画税は約10.5万円となります。
つまり、合計で年間約47.5万円の税金がかかることになります。
2. 火災保険・地震保険 – リスク管理のためのコスト
不動産を所有する上で、火災や地震といったリスクへの備えも欠かせません。
特に、木造建物は火災リスクが高いため、火災保険への加入は必須といえるでしょう。
また、地震大国である日本では、地震保険も考慮するべきです。
火災保険の役割
火災保険は、火災による損害を補償する保険です。
築年数が経過した建物では、保険料が高くなる傾向があり、特に木造の古い建物ではリスクが高く評価されます。
モデル物件では、年間約5万円の火災保険料が発生すると考えられます。
地震保険の必要性
地震保険は、火災保険ではカバーされない地震による損害を補償します。
地震による建物の倒壊や火災を想定した保険で、特に古い建物は地震に弱い場合が多いため、加入を検討すべきです。
年間の保険料は約3万円と見積もられます。
保険費用の合計
火災保険と地震保険を合わせると、年間約8万円の費用がかかります。
これらは「万が一」に備えるための必要なコストですが、何も起こらなければ「ただ持っているだけ」の費用として発生し続けます。
3. 維持管理費 – 放置すればするほど増える負担
空家をそのまま放置しておくと、建物の劣化が進み、修繕費用がさらに膨らむ可能性があります。特に、定期的な清掃や通風・換気、庭の手入れが行われていないと、建物が傷みやすくなり、資産価値が急速に低下します。
維持管理に必要な作業
空家の維持管理には、定期的な巡回、郵便物の回収、通風・換気、清掃、庭の手入れ、防犯対策などが含まれます。これらを怠ると、建物の老朽化が進み、雨漏りやシロアリ被害、さらに不法侵入などのリスクが高まります。
管理費用の試算
維持管理費用として、月額5,000円~1万円程度の巡回・清掃費、年間5万円の庭の手入れ、防犯カメラの設置に年間2万円~5万円がかかると考えられます。これらを合計すると、年間で約13万円~22万円程度の費用が発生します。
維持管理を怠るリスク
管理を怠ることで、建物が深刻な損傷を受ける可能性があり、その場合の修繕費はさらに膨らみます。
また、長期間放置された空家は、周囲の環境や治安にも悪影響を与え、近隣住民からの苦情や行政指導を受けるリスクも考えられます。
4. 修繕費 – 老朽化した建物を維持するための隠れたコスト
築45年の木造建物ともなると、定期的な修繕が避けられません。特に、屋根や外壁、基礎部分の劣化が進むと、放置すれば建物の安全性に問題が生じ、最悪の場合倒壊の危険性もあります。
修繕が必要な箇所
老朽化した建物では、以下のような修繕が必要になることがあります
- 屋根の修繕: 雨漏りを防ぐための修繕が必要です。
- 外壁の補修: ひび割れや劣化が進むと、外観だけでなく構造的な問題も生じます。
- 基礎部分の補強: 基礎のひび割れや劣化は、建物全体の耐震性に影響します。
修繕費の見積もり
軽微な修繕でも年間10万円~20万円、大規模修繕が必要な場合は50万円~100万円程度の費用がかかることがあります。特に古い建物では、一度の修繕で済むことは少なく、数年に一度は大規模な修繕が必要になる可能性があります。
修繕を怠ると…
修繕を怠った場合、建物の価値は急激に下がり、最終的には取り壊し費用も必要になるかもしれません。さらに、修繕を後回しにすることで、修繕費用が倍増するリスクもあります。
5. 結論 – 空家を適切に管理するために必要なサポートとは?
空家を所有するだけで発生するコストは、決して軽視できるものではありません。固定資産税や都市計画税、保険料、維持管理費、修繕費など、年間で数十万円以上の費用がかかることも珍しくありません。これらの費用を抑え、空家を有効に活用するためには、プロのサポートが欠かせません。
不動産管理サービスの活用
不動産会社は、空家の維持管理を効率的に行い、所有者の負担を軽減するサービスを提供しています。例えば、定期的な巡回や清掃、防犯対策、さらにはリノベーションや賃貸・売却のサポートまで、一括して依頼することが可能です。これにより、空家の価値を維持し、必要なコストを最小限に抑えることができます。
プロのアドバイスを受けるメリット
不動産のプロに相談することで、相続した空家をどうすべきか、最適なアドバイスを受けることができます。売却すべきか、賃貸に出すべきか、それともリノベーションして再活用するべきか、専門家の知見を活用することで、資産の価値を最大限に引き出すことが可能です。